焼結炉排ガス低減技術導入事例:中天威尔のセラミック統合システムによる超低排出ソリューション
焼結炉排ガス低減技術の現状と課題
焼結工程における排ガス処理は、鉄鋼業界において最も困難な環境課題の一つです。特に焼結炉から排出されるガスには、高濃度のNOx、SO2、ダイオキシン類、重金属など、多様な有害物質が含まれており、従来の排ガス処理技術では十分な除去効率を得ることが困難でした。
従来技術の限界
従来の焼結炉排ガス処理では、バグフィルターや電気集塵機による集塵、SCR(選択的触媒還元)による脱硝、湿式脱硫装置による脱硫を個別に実施する方法が主流でした。しかし、これらの技術を組み合わせても、以下のような課題が残されていました:
- システムが複雑で設置面積が大きい
- 維持管理コストが高い
- 排ガス中のアルカリ成分や重金属による触媒中毒
- 粘性ダストによる目詰まり問題
- ダイオキシン類の除去効率が不十分
中天威尔セラミック統合システムの技術的特徴
当社が独自開発したセラミック統合多汚染物質超低排出排ガス処理システムは、焼結炉排ガス低減技術において画期的な性能を発揮します。このシステムの中核をなすのは、以下の二種類のセラミックフィルターです:
セラミック触媒フィルターチューブ
ナノレベル孔径を有するセラミック触媒フィルターチューブは、以下の特徴を持っています:
- 孔径:50-100ナノメートル
- 気布比:2.0-4.0 m³/m²/min
- 圧力損失:800-1200 Pa
- 使用温度範囲:180-450℃
- 設計寿命:5年以上
無触媒高温集塵セラミックファイバーフィルター
高温環境下での長時間使用に耐える無触媒セラミックファイバーフィルターは、以下の優れた特性を備えています:
- 耐熱温度:450℃以上
- 耐アルカリ性・耐酸性:優れる
- 機械的強度:15 MPa以上
- 熱衝撃抵抗性:優れる
焼結炉排ガス低減技術導入事例:国内大手鉄鋼メーカーA社
導入背景と課題
A社は年間300万トンの焼結鉱を生産する大規模な焼結プラントを有しており、環境規制の強化に伴い、排ガス中のNOx濃度を100 mg/Nm³以下、SO2濃度を50 mg/Nm³以下、ダスト濃度を5 mg/Nm³以下に低減する必要に迫られていました。
既存の排ガス処理設備では以下の課題を抱えていました:
- SCR触媒の寿命が6ヶ月程度と短い
- バグフィルターの目詰まりが頻発
- 脱硫装置からの排水処理コストが高い
- システム全体のエネルギー消費量が大きい
導入システム概要
中天威尔のセラミック統合システムを導入した焼結炉排ガス低減技術の主要仕様は以下の通りです:
項目 | 仕様 |
---|---|
処理ガス量 | 500,000 Nm³/h |
入口NOx濃度 | 400-600 mg/Nm³ |
入口SO2濃度 | 800-1200 mg/Nm³ |
入口ダスト濃度 | 100-200 mg/Nm³ |
使用フィルター本数 | 2,400本 |
性能評価結果
システム導入後の性能評価では、以下のような優れた結果が確認されました:
- NOx除去効率:95%以上(出口濃度:20-30 mg/Nm³)
- SO2除去効率:98%以上(出口濃度:10-20 mg/Nm³)
- ダスト除去効率:99.9%以上(出口濃度:1-3 mg/Nm³)
- ダイオキシン類除去効率:99%以上
- HF除去効率:99%以上
経済性評価
初期投資コスト
従来技術との比較において、中天威尔のセラミック統合システムは以下の経済的優位性を示しました:
- 設備設置面積:従来比40%削減
- 初期投資額:従来システム比15%低減
- 建設期間:12ヶ月(従来システム:18ヶ月)
運転維持コスト
運転開始後のコスト分析では、以下のようなメリットが確認されています:
- エネルギー消費量:従来比30%削減
- メンテナンスコスト:年間2,000万円削減
- 化学薬品使用量:従来比60%削減
- 廃水発生量:ゼロ(ドライシステムのため)
技術的革新点
マルチチューブシステム統合技術
当社の焼結炉排ガス低減技術の中核をなすマルチチューブシステム統合技術は、以下の特徴を持っています:
- モジュール式設計による拡張性
- 各チューブの独立した機能制御
- オンラインメンテナンス機能
- リアルタイム性能監視システム
耐中毒性セラミック触媒技術
焼結炉排ガスに含まれるアルカリ金属や重金属による触媒中毒の問題を解決するため、当社は独自の耐中毒性セラミック触媒技術を開発しました:
- アルカリ金属耐性:従来比3倍向上
- 重金属耐性:従来比5倍向上
- 熱安定性:600℃まで安定
- 再生性能:5回以上の再生可能
今後の展望と応用可能性
他の産業への応用
本焼結炉排ガス低減技術は、以下のような他の産業分野への応用が期待されています:
- ガラス溶解炉の排ガス処理
- 廃棄物焼却炉の排ガス浄化
- バイオマスボイラーの排ガス処理
- セメントキルンの排ガス浄化
- 非鉄金属製錬プロセスの排ガス処理
技術開発の方向性
今後の技術開発では、以下の項目に重点を置いています:
- セラミックフィルター寿命の更なる延長(10年目標)
- エネルギー消費量の更なる削減
- CO2回収機能の統合
- AIを活用した最適運転制御システムの開発
まとめ
本焼結炉排ガス低減技術導入事例は、中天威尔のセラミック統合多汚染物質超低排出排ガス処理システムが、従来技術では解決が困難だった焼結炉排ガスの環境課題に対して、極めて効果的な解決策を提供できることを実証しました。
ナノレベル孔径のセラミックフィルターを中核としたこの技術は、脱硝・脱硫・脱ふっ素・集塵・ダイオキシン除去を単一システムで実現し、設置面積の削減、エネルギー消費の低減、維持管理コストの削減など、多数のメリットをもたらしています。
今後も当社は、焼結炉排ガス低減技術の更なる進化を通じて、鉄鋼業界をはじめとする各種産業の持続可能な発展に貢献してまいります。